添削・アドバイスの文

このページは1〜10番の講座11番の「作品の添削とアドバイス」で

お寄せいただいた作品に対し、私が実際に書き下ろした文章を掲載しています。

※尚、掲載に際し、ご本人の承諾を得ています。

11番「テラス」 Suさん作

11番「窓辺の犬」 Suさん作


実際の添削文です

○○○○ 様

こんにちは。作品2点を拝見しました。

2点とも気持ちを込めて丁寧に描かれていると思います。

 

では1点ずつアドバイスさせていただきます。まず「テラスの絵」から、

構図も良くメリハリもあり、とても見やすい絵に仕上がっていると思います。1つ気になる箇所がありましたので お話させていただきます。それは物の陰影が一様に黒っぽいことです。例えば椅子の足の陰や床にかかる影、その左のパーテーションの格子の影などが少し目立つ様な気がします。椅子もパーテーションもそれ自体の色は白に近い明るい色だと思いますが、それに見合った陰色で描いて頂けたら、違和感は感じられなかったと思います。黒っぽい陰影色にされた理由は恐らく写真をご覧になって描かれたからではないでしょうか。先日も少し触れましたが 写真は陰影が黒々と映る傾向にあります。もしテラス風景の爽やかさを表現したいのでしたら、尚更違う色にして頂きたいです。もし機会がありましたら、その写真をパソコンで拡大表示して、椅子の陰や格子の陰をご覧になってみてください。黒一色ではなく、異なる色が織り混ざり、濃淡もあり、更に輪郭線のようなものもあり、実に繊細な表情をしていることに気がつかれることでしょう。拡大表示されても黒のままでしたら、その写真を明るくなる様に そして彩度を僅かに挙げる様に補正してみてください。実物に近い陰影色が現れるはずです。余談になりますが色にはそれぞれ意味があり、私達に与えるイメージがあります。例えば黄色は希望・明るさ・幸福感・注意、は情熱・派手さ・怒り・恐怖・危険、は爽やかさ・清潔感・冷たさ・寂しさ、は安心感・癒し・新鮮さ、そしては強さ・迫力・圧倒的・高級感 などです。描かれた陰影の黒は少々迫力が有り過ぎるでしょうか。

 

次に「犬の絵」についてです

絵を拝見した瞬間、実に上手に描かれている思いました。特に構図はほぼ満点を差し上げたいです。また犬の毛の質感表現が素晴らしいですし、静かな雨の日のアンニュイな雰囲気も充分に伝わって来ます。しかしどうしても感じてまうことが、黒の圧倒感です。黒系で描かれた犬に迫力が有り過ぎなのです。 確かに繊細な濃淡で描かれ、技術としては申し分無いのですが、黒という選択はあまり頷けません。(※例えワンちゃんの色自体が黒だとしてもです)顔から前足にかけての緑系の色はとても良いと思います。窓の外の緑が反射しているようで自然に見えます。しかし黒色には、もう少し彩度を持たせたら良かったと思います。例えば窓の桟の赤茶系や紫系を少し混ぜると優しい黒になりますし、色の連続性や空間の繋がりが出てきます。それからワンちゃん足下のハイライトを少しだけ暗くされた方が周辺の黒色との濃淡差がなくなり、ソフトな感じになるのではと思いました。

 

アドバイスは以上です。

今回はアドバイスが少し厳しかったかも知れません。○○さんに更に上を目指していただきたいと思い、つい力が入ってしまいました。お受け止めいただけましたら幸いです。